浜口総合法律事務所

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2016.01.23

債権回収の法的手続

Q.「当社はA社に300万円の売掛金があります。しかし、今まで何度支払を督促してもA社は一向に支払おうとしません。何かいい方法はないでしょうか。」

A.A社が支払わない理由にもよりますが、一般に次のような方法が考えられます。
1 まずは、今までされてきた請求書の発送などとは別に、「内容証明郵便」という書留郵便で請求することが考えられます。これは、貴社がそうした内容の郵便を送ったことを郵便局が証明してくれるものですが、形式が特殊なので、これによって当方の強い意志をA社に伝えることができます。

2 内容証明郵便を送っても効果がないと思われる場合、あるいは送っても支払がない場合には、次のような法的手続をとることが考えられます。
 ① 調停
    これは、原則として話し合いで解決を試みようとするものです。裁判所の調停委員が当方とA社との間に立ち、双方が歩み寄れる範囲で支払に向けた合意を目指します。
    ただ、そのために当方も何らかの譲歩(減額や分割に応じるなど)をする必要があります。また、最終的に話し合いがつかないこともあります。
 ② 支払督促
    裁判所に所定の申立をすることにより、裁判所が簡易迅速にA社に支払を命じる手続です。
    但し、A社の所在が分からなくなっているような場合には利用できません。また、A社から異議があれば③の訴訟に移行します。
 ③ 訴訟
    裁判所が双方の言い分と証拠を考慮して判決を言い渡す手続です。
    もっとも、相当の割合で話合い(和解)が成立しています。

3 ①の調停や③の和解での約束を守らなかった場合や、②の支払督促や③の判決に従わない場合、A社に財産(不動産、自動車、売掛金、預貯金、現金、機械や在庫といった動産など)があれば、それを差押えてそこから回収することができます。

2015.12.09

同族会社の取締役会について⑤ ~ 取締役会の招集手続

Q.「私は中小企業の経営者です。他の役員は私の子供たちですが、最近、子供と意見が対立することが多くなってきています。
この度、会社で新たに設備投資をするにあたり、取締役会の開催を考えておりますが、取締役会を開く手続を教えてください。」
A.取締役会の招集手続についてご説明します。

 取締役会が設置されている場合、その招集手続にも留意する必要があります。
 今回は、誰が取締役会を招集できるのか(取締役会の招集権者)のお話です。
1)取締役であれば、代表取締役などでなくても取締役会を招集することができるのが原則です。
2)もっとも、定款や取締役会決議で招集する取締役を定めたときは、その取締役が招集権者となります(会社法366条1項)。
  ただし、以下の場合には、その取締役以外にも取締役会を収集することが可能です。
 ① その他の取締役
   その他の取締役も、招集権者に取締役会の議題を示して収集を請求することができ(会社法366条2項)、請求があった日から一定期間内に取締役会を開催する旨の収集通知が発せられないときは、自ら取締役会を招集することができます(会社法366条3項)。
 ② 監査役
   監査役も、招集権者に取締役会の収集を請求することができ(会社法383条2項)、請求があった日から一定期間内に取締役会を開催する旨の収集通知が発せられないときは、自ら取締役会を招集することができます(会社法383条3項)。
 ③ 株主
   監査役(監査等委員会や指名委員会等が設置されていない場合も同じ。)が設置されていない株式会社では、取締役が法令・定款違反行為をし、またはするおそれがあるときは、株主は、招集権者に対して取締役会の目的事項を示して取締役会の収集を請求することができ(会社法367条1項)、請求があった日から一定期間内に取締役会を開催する旨の収集通知が発せられないときは、自ら取締役会を招集することができます(会社法366条3項)。

2015.10.15

同族会社の取締役会について④ ~ 取締役会の決議事項

Q.「私は中小企業の経営者です。他の役員は私の子供たちですが、最近、子供と意見が対立することが多くなってきています。
  この度、会社で新たに設備投資をしようと考えているのですが、取締役会に諮る必要はあるでしょうか。」
A.取締役会で決議する必要がある場合があります。

 前回に引き続き、取締役会が設置されている場合、どのような場合に取締役会を開いて決議しなければならないかのお話です。
1)取締役会決議が必要な事項
  会社が「重要な財産の処分及び譲受け」をするときは、取締役会の決議による必要があります(会社法362条4項)。
2)では、どのような場合が「重要」な財産の処分及び譲受けにあたるのでしょうか。
  この点、財産の価額、総資産に占める割合、保有目的、処分の態様、会社での従来の取扱い等を総合判断するとされていますが、その中で量的重要性のみに焦点を当てると、過去の裁判では次のような場合に「重要」な財産に当たるとされています。
  ●総資産の約1.6%
  ●総資産の約2.58%かつ税引後当期利益の813%
  ●総資産の約2%かつ借入総額の4%
  この他、総資産の1%程度を目安とする考え方もあります。
3)本来、こうした量的基準だけで判断するのは妥当とは言いがたいのですが、一応の参考にはなろうかと思われます。
  貴社の設備投資が「重要な財産の処分」ないし「譲受け」に当たる場合には、取締役会に諮ることなく進めてしまうと、その有効性が問題となるとともに、代表取締役の責任も問われることとなりますので注意が必要です。
  なお、前回も申し上げたところですが、紛争回避の一助として、「重要」性について、予め具体的に取締役会規定などで定めておくことをお勧めします。

2015.08.06

同族会社について③ ~ 取締役会の決議事項

Q.「私は中小企業の経営者ですが、他の役員は私の子供たちで、株も私と子供が持っています。最近、私と子供との意見が対立することが多くなってきましたが、取締役会の運営で何か気をつけることはありますか。」
A.取締役会についての基本的な原則などを押さえておく必要があります。

 前回に引き続き、取締役会が設置されている場合の運営上の留意点について解説します。
 今回は、どのような場合に取締役会を開いて決議しなければならないかのお話です。
1)取締役会決議が必要な事項
  会社の業務執行に関する意思決定は取締役会が行うことが原則です(会社法362条2項)が、全ての事項を取締役会で決定していると機動的な会社運営の支障となりかねませんので、代表取締役やその他の取締役に委ねることも可能です。
  しかし、以下の事項については取締役会の決議による必要があります(会社法362条4項)。
  ①重要な財産の処分及び譲受け
  ②多額の借財
  ③支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
  ④支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
  ⑤社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項
  ⑥内部統制システムの構築
  ⑦定款に基づく役員等の会社に対する責任の免除
  ⑧その他の重要な業務執行の決定
 この他にも、代表取締役の選定(会社法362条2項3号・3項)、株主総会の招集決定(会社法298条4項・325条)、取締役の競業・利益相反取引の承認(会社法365条1項・356条)、計算書類・事業報告・附属明細書の承認(会社法436条3項)など、取締役会が自ら行わなければならない事項が法定されています。
2)留意点
  したがって、上記の事項について代表取締役が取締役会に諮ることなく進めてしまうと、その有効性が問題となるとともに、代表取締役の責任も問われることとなりますので注意が必要です。
  なお、「重要」「多額」については、予め具体的に取締役会規定などで定めておくことも一般的に行われています。

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