浜口総合法律事務所

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2023.03.05

相続登記についての法律改正

Q.「父親が亡くなり、不動産を相続することとなりました。相続人は母、兄、私ですが、誰が相続するかについての話し合いがまとまりません。不動産の登記名義は父親のままにしておいて問題ないでしょうか。」
A.法改正により、一定期間内に相続登記を行う必要があります。

1)相続登記について
  従前、不動産所有者が亡くなって相続が発生した場合、登記上の名義を亡くなった方(被相続人)のままとしておいても罰則などはありませんでした。したがって、遺産分割が終了するまでそのままとしておいたり、明確な遺産分割を行うこともしないで、名義も被相続人のまま放置されている例も多かったことと思われます。
  しかし、そうすると、その後、時間とともに被相続人(例えば、親)の相続人(子)も亡くなり、その子(孫)も亡くなり、といった具合に相続が繰り返されて不動産の共有者がねずみ算式に増加し、いざ不動産を整理しようとしても関係者が多くて難しくなり、さらには誰が所有者・共有者か分からなくなってしまうことがありました。こうした事情もあって、不動産が管理されずいわゆる空家として放置されることが社会問題となってきました。
2)不動産登記法の改正
ア 登記申請の義務化
①そこで、不動産登記法が改正され、不動産の相続人に対して、自身が相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記申請をすることが義務付けられ、正当な理由なく怠れば10万円以下の過料に処せられることとなりました。
   なお、この登記は、遺産分割などが未了であっても、Ⓐ名義人が亡くなったことと、Ⓑ自身が相続人であることを申し出れば足ります。また、他に相続人がいても単独で申し出ることができます。
②また、複数の相続人がおり、その中で遺産分割がされたような場合には、その日から3年以内に登記を行う必要があります。
  なお、①の期間内にこの遺産分割登記を行えば、重ねて①の相続人申告登記をする必要はありません。
 イ 3年以内に登記申請がされていない場合、運用としては、まずは法務局の登記官から登記申請を促す通知がされ、それでも正当な理由なく申請しなかった場合に、過料に処せられるかが判断されることとなる見込みです。
 ウ この法改正は令和6年4月1日から施行されますが、これ以前に発生した相続についても適用されるので注意が必要です。
   もっとも、その場合は、上記施行日から3年以内に登記申請を行えば足ります。

2021.12.07

[新型コロナウィルス関連 ~ 妊娠している女性の就労について]

Q.「妊娠している従業員から、新型コロナウィルスの感染拡大のおそれが止まない中で、今まで通り満員電車に乗って出勤したり、職場で働くことには不安があるとして配慮を求められています。」
A.使用者には労働者の安全に配慮する義務があり、ご質問の場合には、妊娠している女性に医師等からの指導があればその指導を守れるように配慮する必要があります。

【安全配慮義務】
 使用者は、労働者に対する安全配慮義務があります(労働契約法5条)。
 また、労災等を防止する義務も定められています(労働安全衛生法3条1項)。
(1)基本的対応
  現下の新型コロナウィルスの感染拡大の恐れが止まない状況下では、勤務先は、できるだけ、①テレワーク・在宅勤務・時差出勤の検討や、②消毒液の設置・換気・マスクの配布を行う必要があると考えられます。
(2)妊娠している女性労働者について
   妊娠している女性労働者については、以下の様に使用者には配慮が求められています。
  ①「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた妊娠中の女性労働者等への配慮について」厚生労働省健康局長等(令和2年4月1日)
  ②「妊娠中及び出産後の女性労働者が保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針」(男女雇用機会均等法13条2項・令和2年厚生労働省告示第201号)
   特に、②においては、妊娠中の女性労働者が健康診査等を受けた結果、新型コロナ感染のおそれの心理的ストレスが母体・胎児の健康に影響があるとして医師や助産師の指導を受けたことを事業主に申し出たときは、事業主はその指導事項を守れるように作業・出勤の制限等を講じなければならないとされています。
   なお、医師等の指導により休業が必要とされた妊娠中の女性労働者に対して、事業主が年次有給休暇以外の有給休暇を整備するなどして実際に5日以上その有給休暇を取得させた場合、上限100万円の助成金が支給されます(新型コロナに関する母性健康管理措置による休暇取得支援助成金)。

2020.06.17

新型コロナウィルス関連 ~ 賃金について

Q.「私の勤務する会社は新型コロナウィルスの影響で業績が大幅に悪化し、今のままの給料を支払い続けることも難しいようです。そこで、経営者と相談して一定期間会社を休業することを考えていますが、その場合の給料はどのように考えればよいのでしょうか」
A.①有給休暇の取得、②有給の特別休暇の取得、③通常の給料の支給、④休業手当の支給、などが考えられますが、労使で良く話し合っていただくことが望まれます。

1)有給休暇の取得
労使で話し合い、法定の有給休暇とすることが考えられます。
2)有給の特別休暇の取得
  労使で話し合い、法定外の有給休暇とすることも考えられます。
3)通常の賃金の支給
  使用者の都合で従業員に休んでもらう場合、本来、使用者は通常の賃金を支給する必要があります(民法536条2項)。
 「使用者の責に帰すべき事由」に当たらない場合には、支給の必要はありません。非常事態宣言が出されている現状からすると、業績の悪化の具体的な原因や会社の態勢、休業回避の方策やその努力の有無などから、「使用者の責に帰すべき事由」に当たらないと解される場合もあり得るのではないかと思われます。もっとも、この場合も、4)の休業手当の支給を検討する必要があります。
4)休業手当の支給
  労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の60/100以上)を支払わなければならないとされています。この場合、支給要件に合致すれば、雇用調整助成金の支給対象になります。
使用者の責に帰すべき事由に当たらない場合は、休業手当の支払義務はありません。ここでの使用者の責に帰すべき事由に当たらない場合は、3)よりも狭く、①その原因が事業の外部より発生した事故であること、②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること、の2つの要件を満たす必要があります。休業回避について最善の努力を尽くしていない場合は、「使用者の責に帰すべき事由による休業」として休業手当が必要となることがあります。
 以上、いずれにせよ、労使で良く話し合っていただくことが望まれます。

2019.02.08

後継ぎ遺贈型受益者連続信託について

Q.「私には妻と、前妻との間の子供(長男)がおります。私には5000万円相当の自宅と、約5000万円の預貯金があります。長男は今のところは信用しているのですが、妻が病気がちですので、私が亡きあとには妻に財産を利用させ、妻が亡きあとには長男に財産を承継させたいと思っています。
このようなことはできるのでしょうか。」

1 ご相談者が亡くなった場合、財産は奥様とご長男が1/2づつの割合で相続することになり、奥様がご自宅を相続して利用できるようにすると、預貯金はご長男が相続することとなり、奥様は十分な生活費を確保できない可能性があります。
2⑴ 遺言で財産を奥様に相続させるとすることはできますが、奥様が遺言を作成しないと、奥様亡き後、ご長男は奥様が取得した財産を承継できません。
この点、奥様が亡くなった後には財産をご長男が承継するという内容の遺言(後継ぎ遺贈)はできないと考えられています。
 ⑵ また、遺言で、ご長男に遺贈することとし、その際に奥様に財産を利用させるという負担を付ける(負担付き遺贈)ということも考えられますが、実際にご長男がこうした負担を履行するかの保証はありません。
3 そこで、信託という制度を利用することが考えられます。
  例えば、
  ① まず、ご相談者が財産をご長男に信託譲渡して、ご長男が受託者、ご相談者が委託者兼受益者となります。これにより、財産はご長男が管理することとはなりますが、ご相談者の生前は、ご相談者が財産を利用することができます。
  ② ご相談者亡き後は、奥様が第2次受益者となることにより、奥様が財産を利用することができます。
  ③ 奥様亡き後はご長男に権利を帰属させることにより、実質的に後継ぎ遺贈と同様の効果を実現することが可能です。
  もっとも、受託者であるご長男の監督の必要性や、上記②の際のご長男の遺留分の検討、また、税金の検討なども必要ですので、実際にこうした信託を検討される際には、弁護士などの専門家にご相談することをお勧めします。

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