浜口総合法律事務所

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2018.09.06

台風による飛散損害について

Q.「私は一戸建てを所有していますが、先日の台風21号で屋根瓦が飛び、それがお向かいのお宅の自動車に当たって傷を付けてしまいました。
   でも、当日はとても強い風が吹き、ほかの住宅でも瓦が飛んだりその他のものが飛んだりしているような状態でしたので、自然災害だから私は責任を負わないということでよいのでしょうか」

1 建物などの土地工作物の設置・保存に瑕疵があり、そのために他人に損害を及ぼしてしまった場合には、建物の 所有者はその損害を賠償する責任があります(土地工作物責任)。したがって、瓦が飛んで他人の自動車に傷を付 けてしまったのであれば、原則としてその賠償を責任する必要があると考えられます。
  しかし、いままでに無いような予想外の強風によって瓦が飛んだような場合には、いわゆる不可抗力によるもの として、責任を問われることはありません。
  もっとも、瓦の設置方法に問題があったり、メンテナンスに問題があるなどして、予想外の強風でなくても飛ん でしまったと思われる場合には、やはり、設置・保存に瑕疵があったとして責任を負うこととなります。
2 先日の台風21号では、大阪市内の最大瞬間風速は47.4mを記録し、およそ半世紀ぶりの強風だったようで す。したがって、瓦が飛んで損害を与えても、いわゆる不可抗力によるものとして責任を問われないとも考えられ そうです。
  しかし、建物の築年数やその後の屋根の状況などから、メンテンナンスを適切に行っていなかったと考えられる ような場合には、やはり責任を負う場合もあると考えられます。
 過去の裁判例でも、最大瞬間風速38メートルの台風で、築後8年半経過した家屋の瓦が飛散して隣家を損壊した 事案で、それまでに特別な異常は見受けられなかったものの、風速14.5メートルの時に飛散を始めていたこと や、近隣建物より屋根の被害が大きかったことなどから、修理費の1/3の賠償が命じられたものがあります。
3 ご相談の事案でも、お向かいとの今後の関係や、上記の裁判例などから、可能であれば、ご相談者が何らかの負 担を含む話し合いによる解決も検討してもよいのではないかと思われます。

2018.09.04

震災と借家について

Q.「私は賃貸住宅に住んでいますが、先日の地震で建物が一部壊れてしまいました。
①家主がなかなか直してくれないのですが、どうすればよいでしょうか
②家主から、直すために一時退去してほしいと言われていますが、退去しなければならないのでしょうか
③家主から、取り壊すから退去してほしいと言われていますが、退去しなければならないのでしょうか」

①について
建物が滅失しているような状態でなければ、原則として、家主に修繕を請求することができます。契約で、「修繕は借主が行う。」、となっていたとしても、それは小修繕(短期間かつ少額で修繕できるもの)に限られます。
家主が修繕してくれない場合には、損壊によって使用収益できない割合に応じて家賃の一部の支払いを拒否することができる場合もありますので、家主とよく話し合うことをお勧めします。
どうしても家主が修繕をしてくれない場合には、借主の方で修繕をして、その費用を家主に請求することもできます。
②について
借主が居住したままでは修繕ができないのであれば、修繕期間中は一時退去する必要があります。その際、引っ越し費用や仮住まいの賃料は家主に請求できませんが、一時退去中の家賃は払う必要はありません。
③について
修繕が可能で、かつ、過大な費用がかからないのであれば、原則として立ち退く必要はありません。
但し、家主の要求に「正当の事由」があれば、契約期間満了時(賃貸借期間の定めがないときは6カ月後)に立ち退く必要があります。ここでの「正当の事由」の有無は、損壊の程度、修繕費用と修繕により延びる耐用年数、立ち退きによる借主の不利益、家主が建物を利用する必要性、立退料の有無と額などを総合して判断することとなります。そこで、立退料を含め、家主とよく話し合うことをお勧めします。

2017.12.03

注文住宅の瑕疵と民法改正

Q.「ハウスメーカーに注文住宅を建ててもらい、住み始めましたが、雨漏りなどがひどく、契約を破棄してお金を返してほしいと考えています。可能でしょうか。」
A.現行民法では、住宅の請負契約については、原則として契約の破棄(解除)は認められませんでした。
しかし、2020年施行予定の改正民法では、解除の可能性は広がる予定です。

1 注文住宅を建ててもらう契約は請負契約の一つですが、請負契約においては、契約の目的を達することができないときは、契約の破棄(解除)が認められています。
  しかし、注文住宅などの、建物の請負契約では、引き渡された建物に雨漏りなどの不具合(瑕疵)があっても、原則として契約の破棄(解除)は認められませんでした。ただ、最高裁判所の判例などで、不具合があまりひどく、建物としての存立価値がないような場合には、建替費用相当額の賠償請求が認められるなど、解除に匹敵するような請求が認められる場合があります。
2 このたび民法が改正され、2020年に施行の予定とされていますが、改正民法では、建物の請負契約では、契約の解除は認めらないとする規定が削除されました。
  したがって、改正民法の施行後においては、建物の請負契約であっても、他の物の請負契約と同様に、契約の目的を達することができないときは、解除が認められることとなります。
3 ご相談の件では、残念ながら、原則として契約の解除は認められず、瑕疵を特定して、その補修費用の請求(その他、瑕疵の調査費用、補修の間の仮住まい費用、引っ越し費用など)が認められるという程度にとどまるかと考えられます。ただ、建物の基礎や躯体などの瑕疵がひどく、建物としての存立価値がないような場合であれば、建替費用相当額の賠償請求が認められる可能性があります。

2017.08.07

預貯金の相続について

Q.「相続の際の預貯金の取扱いが変わると聞きました。私には高齢の父母と兄弟が1人いるのですが、何がどのように変わるのでしょうか。」
A.これまで、預貯金については、一部の例外を除き、遺産分割の対象ではありませんでしたが、最高裁判所の決定により、今後は遺産分割の対象となります。以下に簡単にご説明いたします。


1⑴ これまで、預貯金については、死亡によって相続分に応じて当然に分割されると考えられており、遺産分割という手続きを経る対象とは考えられていませんでした。
   したがって、ご相談者のお父様(あるいはお母様)がお亡くなりになった場合、ご相談者とご兄弟は、銀行などの金融機関に、お父様(あるいはお母様)名義の預貯金のうちそれぞれの相続分(1/4)に相当する部分を払い戻すように直接請求することができました。
 ⑵ しかし、最高裁判所の平成28年12月29日の決定とこれに引き続く平成29年4月6日の判決により、預貯金についても、死亡によって相続分に応じて当然に分割されるわけではなく、遺産分割の対象となるとされました。

2⑴ 実務上は、これまでも、ほとんどの金融機関は、相続人全員の意思が確認できなければ預金の払い戻しには応じていませんでした。したがって、相続人のうちの1人が相続分に応じた預金の払い戻しを受けようとする場合には、裁判手続きを経ることが一般的でした。
   もっとも、入院費用、葬儀費用、固定資産税の支払や、家族の生活費の支払の必要があるような場合には、金融機関はある程度柔軟に払い戻しに応じてくれることがありました。
 ⑵ 最高裁判所の決定によっても、相続人全員の意思が確認できなければ預金の払い戻しには応じないという金融機関の実務上の対応に変化はないと思われます。
   しかし、預貯金について遺産分割の対象となるとされたことにより、前述の柔軟な対応には変化が生じるのではないかと考えられ、入院費用や当面の生活費のための払い戻しが難しくなる可能性があります。
   こうした払い戻しが必要なのに遺産分割がまとまらなかったり、相続人全員の同意が得られないような場合には、家庭裁判所で「仮分割の仮処分」という裁判手続を活用して払い戻しを受けるという方法が考えられています。

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