浜口総合法律事務所

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2015.08.03

同族会社について② ~ 取締役会の開催

Q.「私は中小企業の経営者ですが、他の役員は私の子供たちで、株も私と子供が持っています。最近、私と子供との意見が対立することが多く、取締役会も紛糾することがあります。取締役会の運営で何か気をつけることはありますか。」
A.取締役会についての基本的な原則などを押さえておく必要があります。

1)現在も多くの中小企業で取締役会が設置されています。もっとも、会社法においては、監査役がいない会社などでは、定款に定めることによって取締役会をなくすこともできます。取締役会がない会社では、取締役の多数決(過半数)で業務を決めていくこととなります。
2)取締役会が設置されている場合、その運営上、以下のようなことに留意する必要があります。
 ①開催の要否 ②開催方法 ③議事内容 ④議事の運営方法 ⑤議事録の作成・閲覧 など
3)取締役会の開催の要否・回数について
  会社法上、3か月に1回以上は現実に取締役会を開催する必要があります。これは、代表取締役(及び業務執行取締役)が取締役会に職務執行状況を3か月に1回以上は報告しなければならならず(会社法363条2項)、この報告を省略することができないためです(会社法372条2項)。
  こうした報告を怠った代表取締役(及び業務執行取締役)は、任務懈怠として善管注意義務違反を問われ、会社から損害賠償を請求される可能性があり、会社が請求しない場合には株主から代表訴訟を提起される可能性があります。
  同族会社では、3か月に1回以上取締役会を開催して代表取締役が報告を行うということがされていない会社も多いのではないかと思われます。実際問題、報告を怠ったことによって生じる会社の損害を算定・証明することは容易ではないことが多いとしても、役員間や株主相互間で対立のある会社においては、こうした紛争の「火種」を作らないようにすべきでしょう。

2015.08.03

同族会社について① ~ 取締役会について

Q.「私は中小企業の経営者ですが、他の役員は私の子供たちで、株も私と親族が持っています。このところメディアを賑わした家具会社はもともと同族会社だったようですが、私の会社ではどんな問題があり得るでしょうか。」
A.上場会社かどうかという違いはありますが、同じような問題や、関連するいくつかの問題が考えられます。

1)先日来、メディアを賑わした会社は上場会社であり、組織も大きく、親族以外の第三者株主が多数いると考えられます。こうした点から貴社との違いがあるかも知れません。
しかし、中小の同族会社では、同族会社であるが故に、上場会社以上に次のような様々な問題が持ち上がることがあります。
● 取締役会がある場合には、取締役会の運営を巡る問題・対立
● 取締役の報酬や退職慰労金を巡る問題・対立
● 株主総会の運営を巡る問題・対立
● 役員の選任・退任・解任を巡る問題・対立
● 役員の責任を巡る問題・対立
● 株主対応や、対立する株主からの種々の請求・要求への対応を巡る問題
● 株の発行・譲渡を巡る問題・対立
● 事業や株式の承継を巡る問題・対立
● 株や会社の利用する個人資産の相続を巡る問題・対立
● 遺言書を巡る問題・対立
● その他
2)次回から、上のような問題についてできる範囲で解説させていただきます。

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