2016.12.12
2017年2月24日(金) セミナー「契約・印鑑・債権・手形・小切手の法律実務」(一般社団法人 日本経営協会 関西本部)
2016年2月24日(金)(10:00~17:00)
経理・総務・営業管理部門の日常業務を適切に遂行し、リスク管理を行うために必要な法律知識についてのセミナーです。
2016.12.12
遺言書について②
Q.「先日、母が亡くなりましたが、母は手書きの遺言を残していました。
母は自宅の土地建物を所有していましたが、遺言では不動産の所在として住所だけを書き、これを私に遺贈するとされています。このため、兄から、私への遺贈は建物だけで土地は含まれないと言われています。
そう考えざるを得ないのでしょうか。」
A.次のような判例があります。
1) 遺言書の解釈のルール
遺言の意思解釈に当たっては、遺言書の記載に照らし、遺言者の真意を合理的に探究すべきとされています。
そして、遺言書の記載自体から遺言者の意思が合理的に解釈し得る場合には、遺言書に表われていない事情を遺言の意思解釈の根拠とすることは許されないと考えられます。
2) 最高裁判所平成13年3月13日判決
この事案では、遺言書に、「A所有の不動産である東京都荒川区▲▲〇丁目〇番〇号をBに遺贈する」との記載がありました。
この住所の記載はいわゆる住居表示で、土地や建物の登記簿上の所在とは一致しませんでした。そして、遺言書では単に「不動産」と記載されているだけであって、土地を明示的に排除した記載とはなっていません。とすると、遺言書の記載は,Aの住所地にある土地建物を一体としてBに遺贈する旨の意思を表示していたものと解されるとされました。
3) 本件について
ご相談の遺言書についても、他に、土地を遺贈の対象から外すような記載がないのであれば、最高裁の判例と同様に、土地建物が一体としてご相談者に遺贈されたと解釈されるのではないかと思われます。
但し、実際には、他の条項を含め、遺言全体の有効性や解釈などの問題、遺言の執行の問題などもあり得ますので、専門家に相談されることをお勧めします。
2016.10.08
2016年11月14日(月) セミナー「従業員のミスから会社を守る法律知識」(大阪商工会議所 北支部)
2016年11月14日(月)(14:00~16:00)
大阪商工会議所北支部で、従業員が業務を行う中で生じたミスや事故に対する会社の対応などに関するセミナーを行います。
従業員が交通事故を起こした場合、顧客情報を漏洩させてしまった場合など、従業員によるミス(事故)が発生した場合、会社は金銭的損害を被るだけでなく、社会的信用も失墜しかねません。このセミナーでは、従業員のミス(事故)をめぐる会社の法的責任や対応策について解説いたします。
http://www.osaka.cci.or.jp/s/kita/seminar.php?sid=179
2016.08.08
遺言について
Q.「先日、母が亡くなりました。父は既に他界しており、兄弟は兄と私だけです。
母は自宅などの財産を持っていましたが、封筒に「遺言書」と書いて封をして印を押していたものが見つかりました。
何とか早く内容を確認したのですが、封を開けて見ても良いでしょうか。」
A.絶対にご自身で封を開けてはいけません。
1)遺言には、大きく分けて、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」とがあります。
自筆証書遺言は、遺言者自身が全文・日付・氏名を自書し、捺印をするというものです。
2)自筆証書遺言の保管者は、遺言者が亡くなった後、遅滞なく、家庭裁判所に「検認」という手続を請求する必要があります(民法1004条1項)。
そして、遺言書に封印がある場合には、家庭裁判所で相続人の立会がなければ開封することができないのです(民法1004条3項)。
万一、検認を請求しなかったり、あるいは勝手に開封してしまった場合には、5万円以下という過料に処されるおそれがあります(民法1005条)。
3)検認をしなかったり、勝手に開封してしまったとしても、それ自体で直ちに遺言書そのものが無効になるわけではありません。
しかし、遺言書の中で、仮に自宅をあなたに相続させるとなっていたとしても、検認をしていなければ、遺言書だけであなたに名義を移転することができません。
また、勝手に開封してしまった場合には、お兄さんから、あなたが開封して遺言書を改ざんしたのではないか、など、あらぬ疑いをかけられ、場合によっては、遺言が無効だなどと主張されて裁判にも発展しかねません。
4)したがって、封印のある遺言書は、ご自身で絶対に開封することなく、家庭裁判所に検認の請求をし、その上で家庭裁判所において開封することを強くお勧めします。
なお、単に封がしてあっただけでそこに押印まではされていなかった場合は、上記の「封印」があった場合にあたりませんので、開封しても過料に処せられるというおそれはないかもしれません。しかし、お兄さんから疑いをかけられるおそれは上記と同様ですので、やはり、封をしている遺言書は、そこに押印まではなくとも、開封することなく、家庭裁判所に検認の請求をし、その上で家庭裁判所において開封することをお勧めします。