2015.12.09
同族会社の取締役会について⑤ ~ 取締役会の招集手続
Q.「私は中小企業の経営者です。他の役員は私の子供たちですが、最近、子供と意見が対立することが多くなってきています。
この度、会社で新たに設備投資をするにあたり、取締役会の開催を考えておりますが、取締役会を開く手続を教えてください。」
A.取締役会の招集手続についてご説明します。
取締役会が設置されている場合、その招集手続にも留意する必要があります。
今回は、誰が取締役会を招集できるのか(取締役会の招集権者)のお話です。
1)取締役であれば、代表取締役などでなくても取締役会を招集することができるのが原則です。
2)もっとも、定款や取締役会決議で招集する取締役を定めたときは、その取締役が招集権者となります(会社法366条1項)。
ただし、以下の場合には、その取締役以外にも取締役会を収集することが可能です。
① その他の取締役
その他の取締役も、招集権者に取締役会の議題を示して収集を請求することができ(会社法366条2項)、請求があった日から一定期間内に取締役会を開催する旨の収集通知が発せられないときは、自ら取締役会を招集することができます(会社法366条3項)。
② 監査役
監査役も、招集権者に取締役会の収集を請求することができ(会社法383条2項)、請求があった日から一定期間内に取締役会を開催する旨の収集通知が発せられないときは、自ら取締役会を招集することができます(会社法383条3項)。
③ 株主
監査役(監査等委員会や指名委員会等が設置されていない場合も同じ。)が設置されていない株式会社では、取締役が法令・定款違反行為をし、またはするおそれがあるときは、株主は、招集権者に対して取締役会の目的事項を示して取締役会の収集を請求することができ(会社法367条1項)、請求があった日から一定期間内に取締役会を開催する旨の収集通知が発せられないときは、自ら取締役会を招集することができます(会社法366条3項)。
2015.11.05
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2015.10.15
同族会社の取締役会について④ ~ 取締役会の決議事項
Q.「私は中小企業の経営者です。他の役員は私の子供たちですが、最近、子供と意見が対立することが多くなってきています。
この度、会社で新たに設備投資をしようと考えているのですが、取締役会に諮る必要はあるでしょうか。」
A.取締役会で決議する必要がある場合があります。
前回に引き続き、取締役会が設置されている場合、どのような場合に取締役会を開いて決議しなければならないかのお話です。
1)取締役会決議が必要な事項
会社が「重要な財産の処分及び譲受け」をするときは、取締役会の決議による必要があります(会社法362条4項)。
2)では、どのような場合が「重要」な財産の処分及び譲受けにあたるのでしょうか。
この点、財産の価額、総資産に占める割合、保有目的、処分の態様、会社での従来の取扱い等を総合判断するとされていますが、その中で量的重要性のみに焦点を当てると、過去の裁判では次のような場合に「重要」な財産に当たるとされています。
●総資産の約1.6%
●総資産の約2.58%かつ税引後当期利益の813%
●総資産の約2%かつ借入総額の4%
この他、総資産の1%程度を目安とする考え方もあります。
3)本来、こうした量的基準だけで判断するのは妥当とは言いがたいのですが、一応の参考にはなろうかと思われます。
貴社の設備投資が「重要な財産の処分」ないし「譲受け」に当たる場合には、取締役会に諮ることなく進めてしまうと、その有効性が問題となるとともに、代表取締役の責任も問われることとなりますので注意が必要です。
なお、前回も申し上げたところですが、紛争回避の一助として、「重要」性について、予め具体的に取締役会規定などで定めておくことをお勧めします。
2015.09.25
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