2016.08.08
遺言について
Q.「先日、母が亡くなりました。父は既に他界しており、兄弟は兄と私だけです。
母は自宅などの財産を持っていましたが、封筒に「遺言書」と書いて封をして印を押していたものが見つかりました。
何とか早く内容を確認したのですが、封を開けて見ても良いでしょうか。」
A.絶対にご自身で封を開けてはいけません。
1)遺言には、大きく分けて、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」とがあります。
自筆証書遺言は、遺言者自身が全文・日付・氏名を自書し、捺印をするというものです。
2)自筆証書遺言の保管者は、遺言者が亡くなった後、遅滞なく、家庭裁判所に「検認」という手続を請求する必要があります(民法1004条1項)。
そして、遺言書に封印がある場合には、家庭裁判所で相続人の立会がなければ開封することができないのです(民法1004条3項)。
万一、検認を請求しなかったり、あるいは勝手に開封してしまった場合には、5万円以下という過料に処されるおそれがあります(民法1005条)。
3)検認をしなかったり、勝手に開封してしまったとしても、それ自体で直ちに遺言書そのものが無効になるわけではありません。
しかし、遺言書の中で、仮に自宅をあなたに相続させるとなっていたとしても、検認をしていなければ、遺言書だけであなたに名義を移転することができません。
また、勝手に開封してしまった場合には、お兄さんから、あなたが開封して遺言書を改ざんしたのではないか、など、あらぬ疑いをかけられ、場合によっては、遺言が無効だなどと主張されて裁判にも発展しかねません。
4)したがって、封印のある遺言書は、ご自身で絶対に開封することなく、家庭裁判所に検認の請求をし、その上で家庭裁判所において開封することを強くお勧めします。
なお、単に封がしてあっただけでそこに押印まではされていなかった場合は、上記の「封印」があった場合にあたりませんので、開封しても過料に処せられるというおそれはないかもしれません。しかし、お兄さんから疑いをかけられるおそれは上記と同様ですので、やはり、封をしている遺言書は、そこに押印まではなくとも、開封することなく、家庭裁判所に検認の請求をし、その上で家庭裁判所において開封することをお勧めします。
2016.08.06
2016年10月18日(火)・19日(水) セミナー「『会社法』基礎知識習得コース」(一般社団法人 日本経営協会 関西本部)
2016年10月18日(火)(13:00~17:00)・10月19日(水)(10:00~17:00)
会社法の基礎から平成27年の改正内容のポイントを解説する、総務部門・経理部門・監査部門の方々向けのセミナーです。
2016.08.05
個人情報の保護について①
Q.「新聞やテレビで『個人情報の漏洩』などのニュースを良く見聞きします。
当社は受注の際に、当社のウェブサイトでの注文・申込や、当社所定の注文書や申込書に、ご本人や担当者の名前・連絡先などを記入して貰うことにしています。
こうした名前や連絡先などの取扱について気をつけることはありますか?」
A.「個人情報保護法の規定やプライバシーに十分に配慮する必要があります。
取扱を誤ると、本人から利用停止や損害賠償請求を求められたり、あるいは監督庁から勧告・命令を受け、場合によっては罰則が科されることがあります。」
何回かに分けて、個人情報の保護についてご案内いたします。
1)個人情報保護法
個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)は、個人情報の保護の要請の高まりを受けて、平成15年に制定されました。また、平成27年にも改正がされています。
個人情報保護法では、個人情報を取り扱う事業者に以下のような各種の義務を課しています。これらに違反すると、監督庁から勧告・命令を受け、場合によっては罰則が科されることがあります。
① 個人情報の利用目的の特定
② 個人情報の取得に際しての義務
③ 個人情報の管理における義務
④ 個人情報の第三者に対する提供の禁止と提供する場合の記録作成義務
⑤ 保有する個人情報に関する事項の公表
⑥ 本人からの求めに応じた開示、訂正、利用停止
また、個人情報の取扱を誤ると、本人から損害賠償を求められることもあります。
2)個人情報とは
では、ここでいう「個人情報」とはどんなものを指すのでしょうか。
これについては改めてご説明させていただきます。
また、個人情報を取り扱う事業者に課される上記①~⑥のような義務についても、順次ご説明致します。
2016.06.28
2016年8月26日(金) セミナー「学校事故の法的責任と対策セミナー」(一般社団法人 日本経営協会 関西本部)
2016年8月26日(金)(10:00~16:00)
学校事故をめぐっては、学校側と保護者側との間で訴訟に発展するケースも増えており、学校としての信頼を失うだけでなく、児童生徒の健やかな生活にも大きな影響を与えます。
このような状況を極力少なくするために、教育関係者は学校事故を未然に防ぐための対策を万全に講じるとともに、万が一起こってしまった場合にはどのような責任が生じるのか、またどのように対応すべきかを、適切に理解しておく必要があります。
本セミナーでは、学校事故をめぐる法的責任や対応について、昨今の様々な事例や傾向をふまえ、わかりやすく解説いたします。裁判例も交えながら、知っておくべき法的知識やトラブル防止策について、実践的に学んでいただきます。